特集上映
ジャック・ロジエのヴァカンス

「映画は人生そのもの」
ジャック・ロジエに、ずっと会いたかった―――

ゴダールやロメールとほぼ同世代ながら、現在までに作られた映画は約数十本という寡作の映画作家、ジャック・ロジエ。日本での上映は映画祭などでしかなく、その映画的な価値も、語り口も、スタイルもヴェールに包まれたままだった。ただゴダールが絶賛し、トリュフォーが嫉妬したという伝説だけが一人歩きし、わずかにロジエを体験した人のみから漏れ聞こえてくるその才能を、ため息と想像のうちに納めるしかなかったという伝説の映画監督による、きらめきの作品群を一挙上映。

観たことのない“ヌーヴェル=あたらしい”映画が、半世紀を超えて今に甦ります。

ジャック・ロジエ(Jacques Rozier)

1926年パリ生まれ。映画学校(IDHEC)に入り、ジャン・ルノワール『フレンチ・カンカン』(1954)の撮影に実習生として参加した後、初監督作品となる短編『Rentree des classes(新学期)』*(1955)を撮る。その後トゥール短編映画祭に出品した短編第二作『ブルー・ジーンズ』はゴダールが絶賛し、プロデューサーのジョルジュ・ド・ボールガールを紹介され、長編第一作『アデューフィリピーヌ』(1960-62)を監督。「ヌーヴェル・ヴァーグの最も成功した作品」(フランソワ・トリュフォー)と評された。長編第四作『メーヌ・オセアン』(1985)で新人監督に贈られるとされるジャン・ヴィゴ賞を60歳にして受賞。最新作『Fifi Martingale フィフィ・マルタンガル』*(2001)の完成にあわせ、パリのポンピドゥーセンターでレトロスペクティヴが開催された。

(*印は日本劇場未公開作品)
■長 編

アデュー・フィリピーヌ   1960-62年/フランス=イタリア/1h50/35mm/モノクロ

1960年、兵役を数ヶ月後に控えたミシェルは、勤め先のテレビ局でリリアーヌトジュリエットという女の子と知り合い、ふたりの娘はミシェルに心惹かれていく。夏の休暇のプランで頭がいっぱいのミシェルは、生中継時にヘマをして局を辞め、コルシカ島で早めのヴァカンスを楽しんでいた。そんな彼のところに、リリアーヌとジュリエットがやってくる。双子のように仲良しだったふたりの仲は、嫉妬が原因でぎくしゃくし始めて…。永遠の青春映画と絶賛される、ロジエの長編処女作。

上映日
6/26(土)〜6/30(水) 10:00 20:30 ※6/27(日)20:30の回、6/28(月)休映
7/1(木)〜7/4(日)  18:00
7/6(火)〜7/9(金)  11:30

オルエットの方へ
1969-71年/フランス/2h41/35mm(1996年に16mmからブローアップ)/カラー

9月初め、キャロリーヌとジョエルとカリーンは、海辺の別荘へ気ままなヴァカンスに出かける。女だけの生活を楽しむ3人は、ある日ジョエルの上司のジルベールと偶然港で出会う。以前から彼女に想いを寄せていた彼は、別荘の庭にテントを張らせてもらうが、彼女たちから粗末な扱いを受けることに。一方、海からの帰りに知り合ったパトリックと、一緒にヨットに乗ったり、乗馬をしたりするうちに5人の関係は変化して…。16mmからブローアップされた、海とヴァカンスがいっぱいの長編第2作。

上映日
6/26(土)〜6/30(水) 15:30 ※6/28(月)休映
7/1(木)〜7/4(日)  13:00
7/6(火)〜7/9(金)  14:00 20:10

メーヌ・オセアン   1985年/フランス/2h15/35mm/カラー

ブラジル人ダンサーのデジャニラは、列車内で検札係のリュシアンに罰金を命じられる。リュシアンは検察長と一緒に説明を試みるが、彼女はフランス語を解さず、埒が明かない。通りすがりの女弁護士が、ポルトガル語の通訳を買って出、検札たちを非難し始める。列車はアンジェに到着し、彼女らは漁師のプチガと合流する。女弁護士は彼の弁護をしに来たのだ。だが、裁判は敗訴となり、女ふたりは漁師の住む島に向かう。一方、検札たちもこの島に休暇にやってきて…。ロジエの作品中、最もコミカルな一本。

上映日
6/26(土)〜6/30(水) 12:30 ※6/28(月)休映
7/1(木)〜7/4(日)  10:00 20:30 ※7/4(日)20:30の回休映
7/6(火)〜7/9(金)  17:20

■短 編

ブルー・ジーンズ   1958年/フランス/23分/35mm/モノクロ

Tシャツにジーンズ姿の二人組、ルネとダニィは、カンヌの海岸通りをヴェスパで流し、今日もナンパに励んでいる。南仏の海岸に降り注ぐ真夏の太陽、砂浜で戯れる水着姿の女の子、そこに流れるポップ・ミュージックといったロジエ作品のトレードマークが、初めて明確な姿を現した作品。1958年トゥール短編映画祭に出品されたこの映画は、一躍ロジエの名を高らしめた。

バルドー/ゴダール    1963年/フランス/10分/35mm/モノクロ


パパラッツィ   1963年/フランス/20分/35mm/モノクロ


両作とも、ゴダールの『軽蔑』(1963)の後半1/3を占めるカプリ島でのシーンの撮影現場に取材したドキュメンタリーで、いわば双子のような作品。『パパラッツィ』が『軽蔑』の撮影現場の外側で起きていたブリジット・バルドーと彼女を狙うパパラッツィとの攻防戦に焦点を当てた作品であるのに対し、『バルドー/ゴダール』はその内側でのバルドーとゴダールとの関わりをとらえている。


上映日
6/26(土)〜6/30(水) 19:00 ※6/28(月)休映
7/1(木)〜7/4(日)  16:20
7/6(火)〜7/9(金)  10:00
※3本立て

料金 【長編3作品】
一般1,500円/大学・専門学校生1,200円/シニア・障がい者・付添(1名まで)・会員:各1,000円/高校生以下800円

【短編】
一般1,200円/大学・専門学校生・シニア・障がい者・付添(1名まで)・会員:各1,000円/高校生以下800円
★短編割引:長編3作品の半券ご提示で各種200円引き

※当日券のみの販売

配給:アウラ /宣伝協力:テレザ
協力:一般社団法人コミュニティーシネマセンター
http://www.rozier.jp/
(C)2009 A17

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